輸出免税の請求書の書き方
海外の取引先に請求するとき、消費税はどう書けばいいのか。 「0%」と「非課税」を混同すると、本来戻ってくるはずの税金を 取りそこねます。
まず、0%と非課税は別のもの
どちらも「請求書に消費税が乗らない」点は同じですが、 事業者にとっての意味が違います。
輸出免税(0%)
売上には消費税がかからない。そのうえで、 仕入や経費で払った消費税は控除できる。
非課税
売上に消費税がかからないのは同じだが、 対応する仕入の消費税は控除できない。
海外の取引先への役務提供は、一定の要件を満たすと 前者(輸出免税)として扱われます。請求書に「非課税」と書いてしまうと、 経理上の扱いを誤る原因になります。
海外の相手なら常に0%、ではない
ここが一番よく誤解されます。相手が国外の会社でも、サービスが国内で消費されるものは 対象外です。
たとえば来日した相手を日本国内で案内する、国内での飲食や宿泊を 手配するといったものは、便益が国内で生じているため 同じ扱いにはなりません。
一方、海外にいる相手のために行う開発・デザイン・コンサルティングなどは、 相手が国外でその成果を受け取るため、要件を満たしやすい類型です。
請求書に何を書くか
金額を書くだけでは足りません。あとから見て 「なぜ0%なのか」が分かる状態にしておく必要があります。
- 相手が国外の事業者だと分かる表記国名を含む所在地を英文で書く
- 税率が0%であることの明示「Japanese Consumption Tax: 0%」のように税率そのものを書く
- 通貨の明示円建てなら JPY と書く。相手の国の通貨と取り違えられないように
- 送金先(SWIFT/BIC)海外送金には銀行名と口座番号だけでは足りない
- 取引の内容何を提供したのかが分かる品目名。「業務委託料」だけでは弱い
あわせて、取引が実在することを示す資料(契約書、やり取りの記録、 入金の記録など)を保存しておきます。
実際の書面
ラクチョーで海外の取引先を登録すると、税率は自動で0%になり、 英文の書式で出力されます。下は出力例です(架空の会社)。
INVOICE
Invoice No.: INV-2026-0042
Date: August 25, 2026
Customer
Northwind Pacific Pte Ltd
1 Raffles Place, Singapore
Singapore
Re: Web Application Development (August 2026)
Seller
Minato Design Inc.
7F Shibuya Bldg, 2-1-1 Shibuya, Shibuya-ku, Tokyo 150-0002, Japan
TEL: 03-1234-5678
info@minato-design.example
| Description | Qty | Unit Price (JPY) | Amount (JPY) |
|---|---|---|---|
| Application development | 1 式 | 680,000 | 680,000 |
| Technical consulting | 8 h | 15,000 | 120,000 |
Export of Services — Japanese Consumption Tax: 0%
Services are provided to Customer outside Japan.
| Amount | JPY 800,000 |
| Japanese Consumption Tax (0%) | JPY 0 |
| Total Amount | JPY 800,000 |
Payment Due: September 30, 2026
Payment Details
| Bank | Mizuho Bank, Ltd., Shibuya Branch |
| SWIFT Code | MHCBJPJT |
| Account No. | 1234567 |
| Beneficiary | Minato Design Inc. |
All bank charges are to be borne by the payer.
よくあるつまずき
- 税率10%のまま海外の相手に請求してしまった
- 相手は日本の消費税を負担する理由がないため、値引き交渉や修正依頼になりがちです。取引先の登録時に海外かどうかを決めておくのが確実です。
- 「非課税」と書いてしまった
- 経理側で仕入税額控除の扱いを誤る原因になります。0%(免税)と非課税は別のものです。
- 日本語の請求書をそのまま送った
- 相手の経理で処理できず、支払いが遅れます。英文の書式と送金情報(SWIFT)が要ります。
このページは制度の一般的な説明です。個別の取引が 輸出免税に当たるかどうかの判断は、契約内容や役務が消費される場所に 左右されます。実際の申告にあたっては税理士にご確認ください。